示談とは

「示談」という言葉は,損害賠償などが問題になった場合に裁判外で話をつけるという意味でよく用いられます。交通事故事案における賠償問題に関していえば,多少専門的な書物を開けば,「加害者が損害賠償として一定額の支払を約するとともに,被害者がその一定額の支払を受けることで満足し,それ以上の損害の賠償については事後加害者に一切の請求をしない(権利放棄条項)という被害者と加害者との合意をいう。」などと定義されています。要は,加害者が被害者に一定の賠償金を支払い,それで問題を解決することを合意するということです。

 

示談のメリット

交通事故事案の損害賠償問題は,その大部分が示談によって解決されているのが現状です。私の仕事でも,裁判や調停になるのはむしろ少数で,多くの場合加害者(ほとんどの場合はその加入保険会社)との話し合いで解決されているように感じます。

交通事故事案の多くが示談で解決されているのは,裁判と比較して低コスト・短時間で済ませることができるというメリットがあるからだと思われます。確かに裁判になると,解決までに年単位の時間を要します。江戸時代の「公事三年」(「公事」とは今でいう訴訟のことです)は,残念ながら現代でもそれほど変わっていないのかもしれません。

示談をめぐる問題点

交通事故事案における示談は,基本的に相手方保険会社との交渉です。そこで,適正な賠償額が決定されれば問題はないのですが,一般の方が自分で交渉される場合,スムーズに済まないことが少なくないのが現実です。

特に問題になるのが,事故後間もない,後遺症等の見通しも明らかでない時期に,低額な示談の申入れが相手方からされる場合です。そのような申入れがされた事情の詳細は分かりかねますが,いまだ後遺障害の申請もされていない段階で送られてきた示談の提示書(後遺障害慰謝料・逸失利益はもちろんゼロです)を見たことは,私も何度もあります。そこで提示された額は例外なく,本来その被害者の方が得られるべき賠償額の実に数分の一に過ぎません。

そのような提示を受けて相談に来られた方に対しては,私たちはいうまでもなく,「そのような示談は受けないで,後遺障害申請を出しましょう!」と申し上げますが,中には私たちの所に相談に来る前に,示談書に判子をついてしまったという方もおられます。

事故後早期に,著しく低額でされた示談については,特に事後的に相当な後遺症が出た場合など,その効力を否定して,新たに交渉が可能とされる場合もありますが,それは極めて例外的なケースです。一度示談書を取り交わしてしまえば,後からひっくり返すのはなかなか大変です。

 

専門家にご相談を!

お金で痛み・苦しみが癒されるわけでも,ましてや身体が元通りになるわけでもありませんが,あまりに低い金額で問題を終わりにされるのは,全くもって不公平・不条理です。ですから私たちは,交通事故被害者の方には,早い時期に相談に来られ,示談交渉は専門家である私たちに任せてくださいと申し上げるのです。