◎逸失利益とは

交通事故事案における「逸失利益」とは,被害者に後遺障害が残った場合,それによって失われた労働能力あるいは収入を金銭換算したものです。「後遺障害逸失利益」「後遺症逸失利益」とも言います。

基本的に,(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(喪失年数)という式で計算されます。

 

◎それぞれについて多くの論点があります

上の計算式を見れば,逸失利益の算出は,一見簡単そうに見えるかもしれません。電卓を弾けば一瞬で出せそうな気もします。

しかし実際には,なかなか論点が多く,難しい問題なのです。今回は,基礎収入をめぐる議論について考えてみたいと思います。

 

◎基礎収入をめぐって問題になりやすいケース

「基礎収入」とは,逸失利益を算出する上で計算の基礎になる収入のことです。例えば,平成25年の事故であれば平成24年の年収を基礎収入として計算することになります。

公務員や会社員の多くの方の場合,給与明細や源泉徴収票が発行されますから,事故前年の年収の証明は難しくないでしょう。年収の証明をめぐってよく問題になるのが,①自営業者,②若年者,③無職者,④主婦(主夫)といった方たちです。

 

◎自営業者の方の場合

自営業者には,確定申告を出していなかったり,出していても実際よりも所得をかなり少なく申告されている方が少なくないでしょう。そのため,そういった方が相手方保険会社と交渉すれば,保険会社は「収入ゼロ」とみなして逸失利益を否定してくることがよくあります。

これに対しては,本人の仕事や生活の実態を様々な角度から立証して,間接的にその収入額を主張していくという方法があります。銀行通帳,帳簿,請求書や領収書などの積み重ねにより,少なくともこれくらいの収入はあったという論法で進めます。

 

◎若年者の方の場合

会社勤めでも,20歳代くらいまでは収入があまり多くない人が大半でしょう。そのため,原則通り事故前年の年収を基礎収入として計算すると,若いうちに事故に遭ってしまったがために逸失利益が低く評価されてしまうことになりかねません。

そこで,30歳以下くらいの人については,全年齢の労働者の平均収入をベースに計算することが裁判例でも多くなっています。ただし,一般の被害者が保険会社と交渉した場合,被害者が若年者であっても事故前年の年収をベースにした提示がされることが多いです。

 

◎無職の方の場合

事故当時無職だったという方の場合,保険会社は休業損害や逸失利益を否定してくることがよくあります。

これに対しては,それまでの学歴・職歴,就職活動や就労意思の実態などを積み重ねることで,「事故がなければ少なくともこの程度の収入は得られていた可能性が高い」というように証明していくことが多いです。

 

◎主婦(主夫)の方の場合

家事労働は,女性の全年齢平均(年収350万円程度)と評価されることが裁判例では一般的です。基本的に,家事労働は自分がメインでしており,同居の家族がいるという方の場合,家事労働者として評価されることが可能です。

ただし,一般の被害者が保険会社と交渉した場合,それよりもかなり低い額の提示がされることが多いです。例えば,パート勤務をしている主婦の方の場合,そのパートの給与を基礎収入として提示してくるといった具合です。

 

◎当事務所の方針

当事務所では,交通事故に関してこれまで,様々な職業・立場の方の案件を取り扱ってまいりました。

その経験を活かし,裁判所基準に照らして相当な額の賠償が得られるように,交渉を進めてまいります。

「後遺障害が認定されたけど,これからどうしたらいいのかわからない・・・。」

と悩んでおられる方は,是非当事務所までご連絡ください。