喪失年数とは

 交通事故の被害者の方に後遺障害が認定されると,それによって労働能力を減少させたと評価されるわけですが,それが何年続くのか,何歳までの労働能力を見るのかということが問題になります。

 それが,労働能力の「喪失年数」をめぐる問題です。

 

原則は満67歳までの年数です

喪失年数については,原則として症状固定時から満67歳までの年数とするというのが現在の裁判例での扱いになっています。昭和40年代頃からこのような扱いになっているようです。「満67歳」というのは,昭和40年の男性の平均寿命(0歳からの平均余命)がほぼ67歳であったことに由来するとのことです。還暦プラス数年ということで,その辺りが職業生活を送れる一応の限度と見られたのでしょうか。

なお,症状固定時から67歳までの年数よりも,症状固定時からの平均余命の2分の1の方が長くなる,比較的年齢の高い方については,症状固定時からの平均余命の2分の1を喪失期間とするという扱いがされています。例えば症状固定時に満60歳の男性の場合,平均余命は約22年でその2分の111年となり,67歳までの7年より長いため,喪失年数は11年とされるわけです。また,職業によっては,より長い期間が認められることもあります。

 

67歳までより短い期間しか認められない場合もあります

 いわゆるムチ打ちのような神経症状の場合,認められる喪失年数はかなり短縮されます。12級の場合5年から10年,14級の場合2年から5年程度となることが通常です。このようなやり方は,「後遺障害」「後遺症」といったものが回復不可能であるという建前とは矛盾するとも思われますが,現在のところ変更の可能性は少ないようです。

 また,保険会社からの提示では,ムチ打ちのような神経症状でなくても,かなり短い期間しか喪失を認めないことがよくあります(われわれは,そのような場合には徹底的に争います。)。

 

ライプニッツ係数について

 「喪失年数○年」という場合,逸失利益の出し方は,(基礎収入)×(労働能力喪失率)に喪失年数の数字を丸々かけるのではありません。逸失利益についての損害賠償は,将来分まで一括して受け取るということで,将来分の利息を控除して計算するという扱いになっています。その時に一般的に用いられるのが,ライプニッツ係数と呼ばれる係数です。利息は年5%で計算しますが,低金利の時代においてもこのやり方を維持してよいかについては批判もあります。

 

「喪失年数」についても是非ご相談下さい!

 相当高い後遺障害等級が得られたのに,保険会社からの提示を受けて,喪失年数が「こんなに短いのか?」と疑問に思われた方は,是非とも当事務所にご相談ください。本来得られるはずのものが得られないで泣き寝入りする必要はどこにもありません。